読書記
「寝ても覚めても」 柴崎友香
この作品、私の中で大ヒット作です。
泉谷朝子の10年を描いた作品。
朝子は、鳥居麦(ばく)と出会い、付き合い始めるが、ある日突然姿をくらましてしまう。
その数年後、朝子は生活の拠点を大阪から東京に移していた。
そして、麦にそっくりな青年丸子亮平と出会う。
亮平と付き合い始めた朝子は、少しずつ麦のことを忘れていくのだが……。
ある日付けっぱなしにしていたテレビ画面には、俳優になった麦が映っていた?!
この朝子の趣味はカメラで、時々いいポイントとして登場します。
ファインダーを覗いている時は現在、シャッターを押してしまったら過去と。
この例えは、麦と付き合っていた朝子は過去で、亮平と付き合っている朝子は現在に当てはまる。
また、時間軸が進む時は、1、2文挟み、セットチェンジする際に幕を引くようだった。
前回、読んだ「ビジリアン」は映画のようだったが、本作品は演劇を見ているようだった。
久しぶりにどっぷり浸かった作品だった。
秋沢文穂拝