紅い文

間違いだらけの文章につき、あかいふみと名付けました。

読書に関する野望

まず始めに断っておくが、私は感想文、書評やレビューなるものを書くのは苦手だ。
それは私の書く文章がおかしいのとともに、根本的な読解力が欠如しているせいだとも言える。
だから、本を正しく読めているか甚だ怪しい。
そんな私はネットの片隅で物語を紡いでいる。じつにちゃんちゃらおかしい限りだ。
自分の物語を紡ぐ欠如を補うため、読解力がなくとも本を読むことを習慣にしている。
さて前置きはこれくらいにし、本題である今週のお題秋の夜長は読書とブログ」に入るとしよう。
じつは読解力のない私は現在芥川賞受賞作品制覇を目論んでいる。
8月末に2013年度後期受賞作藤野可織著「爪と目」を読み、ふと今まで受賞した作品を読んでいないことに気付いてしまったからだ。
爪と目
いや過去に5冊読んでいる。宮本輝著「蛍川」、小島信夫著「アメリカン・スクール」、綿矢りさ著「蹴りたい背中」、金原ひとみ著「蛇にピアス」、津村記久子著「ポトスライムの舟」。
蛍川・泥の河 (新潮文庫) アメリカン・スクール (新潮文庫) 蹴りたい背中 (河出文庫) 蛇にピアス (集英社文庫) ポトスライムの舟 (講談社文庫)

これだけは読んだ。
しかし、過去に数冊トライして頓挫した作品も多く、私の中で芥川賞は敷居の高いものと化していった。

そのハードルを越えるために現在から過去へさかのぼり、田中慎弥著「共食い」を除く磯崎憲一郎著「終の住処」まで計8冊読了した。
8冊読了して食わず嫌いしていた作品が多いのに大変驚いた。
芥川賞というより直木賞向きでは?と思うものあり、結末にたどり着くまで非常に難解なものありと作品によって印象はまちまち。
この13冊のなかで良かったものをチョイスすると、赤染晶子著「乙女の密告」、鹿島田真希著「冥土めぐり」、磯崎憲一郎著「終の住処」。
終の住処 (新潮文庫)
「終の住処」は比喩表現が非常に巧みで、私の目指しているところの情景描写と心理描写の融合が素晴らしい!
冥土めぐり
一方、「冥土めぐり」は「終の住処」を同じ匂いを醸しつつ希望の見える終わり方が良かった。
個人的には同時収録されていた三人のお姉ちゃんLOVEの「99の接吻」が気に入ったが・・・
そして群を抜いたのは「乙女の密告」
乙女の密告 (新潮文庫) 乙女の密告
アンネの日記を題材とした物語なのだが、私はアンネ・フランクというと重苦しい気分になってしまい敬遠していた。
だからこの作品も重苦しいものだと勝手に決めつけ、絶対に読めないだろうなと思い込んでいた。
ところがどっこい!
私の意に反しおもしろいではないか! 目からうろこがぽろぽろ落ちまくり。
内容を簡単に申すと、女子大でドイツ語の講義を取っているみか子たち2年生はバッハマン教授の命により、「アンネの日記」を暗唱させられる。
留年していると噂の麗子様と一緒に暗唱の練習をすることになるのだが、麗子様に関する噂が乙女たちの間で広まり次第にみか子一人となってしまう。
ラストのみか子が暗唱するシーンはじつに感動的だった。
こう書くと実に堅い作品に思えるが、著者の赤染さんは京都出身の方。
つまり文章に独特のユーモアが含まれており、ニヤニヤしながら読めるのだ。
ちなみにちょっとした恋愛要素や変態要素?も含まれているので、芥川賞に敬遠しがちな方(特に女子!)も通読できると思います。

そして昨日はウィーンを舞台としたYA「庭師の娘」を読み終えたばかり。
庭師の娘
これも中高校生だけではもったいないほどの名作だった。
テーマを決めて月間で読みあさっていく読書方法も悪くはない。
だけど、飽き性の私はこうしてガス抜きしないと、とてつもなく長いテーマは続かないのだ。
そして今は秋が深まっているせいか、はたまた読み終えた本の影響か、ロマンス小説が無性に読みたくなっている。
どうやら芥川賞全作品制覇するには、まだまだ時間がかかりそうだ。

どうでもよい追記:苦手な感想はすべて右側に設置しているブクログに書いてます。

秋沢文穂拝