読書記
恐らくこの作品はユーモア・ミステリーの部類に入るのだと思うが、じつは奥が深い。
ミステリーとユーモアのオブラートにくるみ、実は底辺大学の実情を訴えているのではないかと思う。
事件そのものよりも、准教授の給料、大学に入ってくるお金や内部抗争、そこに通う学生たちの素性を重きとして描いている。
これは現役の大学教授、奥泉光氏だからこそ細部まで描けたのだろう。
とここまで硬いことばかり書いたが、主人公のクワコーこと桑潟幸一は残念な人物(笑)
そして、かなりヘタレだ。
そのヘタレ准教授をカバーするのは、文芸部の面々。
みな個性的な人ばかりで、特に学内の敷地に住んでいるホームレス女子大生ジンジンこと神野仁美が気に入りました。
なんだかんだ言ってクワコーを助けているところがいい(^^)d
魅力的な人物ばかりで面白おかしく読めた作品でした。
秋沢文穂拝