紅い文

間違いだらけの文章につき、あかいふみと名付けました。

「たゆたう熱体」連載を終えて

おかげさまで、連載を終えることができました。

ここまでハードなものを書き上げることが、できてほっとしております。
若干、言い訳がましいところもございますが、お付き合いくださると幸いです。

 

今回、みなさまの非難を承知の上であえて地雷に挑戦をしました。
不倫、児童に対するいたずら、いじめ、児童虐待と。
ヒロイン智理香の孤独というものを考えたさえに、出てきたキーワードでした。その背景には貧困が浮かびました。
もっと明るくポップに描く手法にし、恋愛をメインにしたら、私も書きやすく、読者様も読みやすかったかもしれません。
連載をスタートさせるさいブログ(活報)にも書きましたが、表現の幅を広げる目的があったからです。
ただ智理香の過去が重ければ重くなるほど、宏樹との交流が反動で楽しいものになってしまいました。特に後半。

執筆中、掲載をする場所に悩みました。女性向け、新しくできた男性向け、もしくは自サイト、他で掲載をするか。
女性視点で書いていること、甘いシーンも多く、女性向けに掲載をいたしました。
そもそも読む人を選ぶ部類の作品なので、これでよかったと思っております。

じつはこの作品、「きらめく星の花」よりも、先にアイディアが浮かんでおりました。
ただ当時の私には、テーマが重すぎて書けないと感じ、リゾラバをテーマにした「きらめく星の花」に着手いたしました。
きらめくを終えた後に、すぐ宏樹と出会うシーンまでは書きましたが、やはり書けず、足かけ三年の完成となってしまいました。
棚上げになっているものは、まだあるのでちょっとずつ形にしていきたいのですが。

重いキーワードを並べまくりましたが、それでも恋愛ものだと思って読まれた方にお詫び申し上げます。
大変申し訳ございませんでした。
結末にかんして白状いたします。

(ネタバレになってしまうため具体的な部分は伏せておきます)
今作は「AでもなくBでもなくCでした」が、「AからBへ」というターンも考えておりました。
数年後、再びあの場所で再会をし、お前ら一生やってろ的なノリでいこうとしておりました。
中盤のエピソードを踏まえると、そのターンはあり得ないなと思うようになりました。
さらに宏樹は15話目のラストで、智理香に対して致命的な発言をしております。
お気づきになりましたでしょうか。
可愛い娘をこんなことを言う奴にやりたくはないです。というか、こんな奴も息子ですが・・・(汗)
そんな可愛い子供二人の過去は、半べそをかきながら執筆していたことを告白しておきます。
特に智理香のクレヨンエピソード。
やはり書いてしまってから申すのも何ですが、子供が辛い目や悲しい目に遭っているシーンは書きたくないです。正直。

おそらく多くの方が疑問に思っていることをざっくり書きます。
その1 智理香と秀征の関係を、母親が知っていたか。
知っています。同居をしていれば、ばれるでしょう。確実に。
智理香は母親のことを疎ましく思っておりましたが、じつは母は愛情をそそいでおりました。
自分のお腹を痛めて産んだ子供ですから、可愛くないはずがありません。
秀征を殺したのも、母の愛情だったのです。

その2 宏樹はなぜ智理香を探し出さなかったか。
もちろん探しましたが、半分諦めていたんですね。
地元へ戻ると言ったときに、智理香の表情が冴えないことに気付いてました。
けれども、宏樹も智理香に一生愛情を注げる自信がなかったのです。
だから、お互いに好きとか愛してるとか、口にしていないでしょ?

裏話を書いてしまうと、きりがなくなりそうなので、この辺にしておきます。
というかこれで、また一作品出来そうな気がします。
今回はあくまでも智理香視点ということで、母親や宏樹の視点を排除しました。
あまり自信がありませんが・・・。
さてまたしばらく潜りますが、例の止まっている作品に専念し、他にも書きたい長編がわんさかあります。
いっそうのこと、創作マシーンになってしまいたいぐらいです。
それでは、長々と講釈にお付き合い下さりありがとうございました。

 

 秋沢文穂拝

 

宏樹と智理香の過去を描く前に聞いていました。


Robert Crowe - Aria 'Lascia ch'io pianga' (from 'Rinaldo', HWV 7) G.F.Händel